おとといまでの私にわからせるためのブログ

写真のことと、美術のこと、あと好きなことについて。私にわかるように書いてます

明日、世界が終わりませんように!(シン・ゴジラとロスト・ヒューマン)-- 杉本博司「ロスト・ヒューマン」展について

 

東京都写真美術館、通称「としゃびorしゃび」ですが、リニューアルして通称が「TOP MUSEUM」に変わったようです。TOPって!大きく出たねこりゃっ!

ってことで、杉本博司「ロスト・ヒューマン」展見てきました。

 

最初から最後までおもしろく、わくわくしっぱなしだったのですが、このわくわくしっぱなし感、最近なんか味わったぞ・・・・。と、思ったら、映画「シン・ゴジラ」でした。

実は、私はこの夏、シン・ゴジラにドハマリしていて4回も見ちゃったのですが、今回の「ロスト・ヒューマン」展、シン・ゴジラの、特に前半部分の興奮に似ていると感じました。

 

想像し得る最悪の状況、既視感のある災厄、うまく対応しきれない政府や専門家。

そしてそういうリアリティーを産む細かい描写と、破壊の美しさに、頭がぼーっとしちゃう感じ。そして張り巡らされた圧倒的情報量によって頭がくらっとやられて勝手にノッちゃう感じが、シン・ゴジラの熱狂ポイントであり、それは「ロスト・ヒューマン」展〈今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない〉のおもしろさそのものでもあると思うのです。

 

33の終末の物語 + 杉本博司の過去の作品 + ファウンド・オブジェの3つの要素で構成されている〈今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない〉シリーズは、これらが絡み合っていろんな論点を匂わせていて、ひとつひとつのストーリーが充実しすぎてて、もう全部論じきれないよ!!(ってとこもシンゴジラに似てる)でも、超おもしろい!楽しい!わくわくしっぱなし!って感じでした。

 

まー、論じきれないよ!とか言ってるのもちょっとあれなので、今回わたしは、やっぱり、「写真美術館」という場所で開催されたことを含めた、写真という杉本博司の原点に立ち返って考えたいと思います。

 

f:id:yzgz:20160921215627j:image  (こちらは昨年の千葉市美術館での展覧会の写真)

 

今回、存在感を発揮しまくっていたファウンド・オブジェ(既製品を持ってきてそのまま展示するスタイル。)の数々ですが、写真家として活動を始めた(であろう)杉本博司なのだから、それらのオブジェを写真にして展示することもできたはずです。

そもそも、写真にはファウンド・オブジェ的な性格があります。

被写体の風景や姿を写真にとることで姿を借りて再現するというのは、写真の用途のひとつです。(たとえば、遺影なんか、まさにそうです)

でも、それをせずに、実物を持ってきてそのまま展示したということは、(若干存在感薄まっちゃった感じもするけど、)彼自身の写真作品、そして彼が写真でやってきたことにメッセージを込めたかったんじゃないかな、と思うのです。そして、33の物語にリアリティを持たせて、私たちに文明の終わりを想起させなかったんじゃないかな。と。

 

杉本先生は「写真のできること」にすごく自覚的です。

写真が過去のある地点・ある部分の時間をパッケージしたものであることは、事実。

そして、写真が撮影者本位に被写体や時間を切り取ることのできる、虚構であることも事実。

 

だから、もし、ファウンド・オブジェの数々を写真にしてしまうと、それらのグッズに過去だの未来だのの時間を与えてしまうし、うそっぱち(虚構)であることを強調する結果になってしまいます。

 

だけど、杉本博司のこれまでのシリーズでは、とっくに死んでいる歴史上の偉人に実在感をもたせたり、映画1本を写真にしてしまったり、ジオラマを撮影して虚構を現実に見せてしまったりして、「写真のできること」をひっくり返してきました。

 

f:id:yzgz:20160921215808j:image   (こちらも上の写真同様)

 

 そして今回は、とうとう、未来を写す写真に挑戦したのだと思います。

トーマス・ルフも別のやり方で同じ試みをしていましたね〜。) 

 

yzgz.hatenablog.com

 

ただ、写真のできることに自覚的な杉本博司らしく、

33の終末の物語 + 杉本博司の過去の作品 + ファウンド・オブジェ

の組み合わせによって、〈今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない〉シリーズは、写真美術館の他の展覧会では出会うことのできないであろう「未来」を見せてくれたのではないでしょうか。

 

2Fの新作「廃墟劇場」は、この「ロスト・ヒューマン」展のなかでどういう位置づけにあるのか、もうちょっと考えたいな、というところなんですけど(ごめんなさい)。。。

 

あと、三十三間堂は、本当に狂ってて京都でも好きなスポットのひとつなのですが、そこで撮影された「仏の海」シリーズも、大好き。

信仰の対象を量産して、俗世の不安を取り除こうとして作られた三十三間堂の仏を、写真に撮って複製するってもう、「仏が海じゃ〜〜〜〜ん!!!!」状態なんだもん。 

ずーっと眺めていたいし、三十三間堂に行きたいなあとも思いました。〈今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない〉シリーズの比較宗教学者のパートの物語の亜種としても読めそうですしね。

 

あと、〈今日 世界は死んだ .......〉シリーズの中で一番好きなのは、、、迷うところですが、「世界保健機関事務局長」なんだけど、こんなこと、庵野秀明の「巨神兵東京に現る」で言ってたような気がするんだけど、、気のせいかな?

 

でも、シリーズの中でどれが一番好きかって話でふつうに盛り上がれそうで、それもいいですね。

 

そういえば、あの代筆者リストも、シン・ゴジラのエンドロールっぽくない?びっくりしたり「あ〜」ってなるようなキャストや制作協力者・関係者がいる感じ。。。

 

とにかく色んな楽しみ方ができそうです!

 

杉本博司「ロスト・ヒューマン」展は、11月13日まで。

芸術の秋にぴったりの、誰でも楽しめる展覧会だと思います。

まず、展覧会の会場入って度肝ぬくよ!こんなの初めて・・・って人が多いんじゃないかな!

 

www.topmuseum.jp

 

いったらどのパートが好きだったか、お話しましょう。ぜひです。

 

ではまた!